湿気とマンションリフォーム|

家づくりの大事な話

梅雨の時期、ムシムシする室内に悩んだことはありませんか?

湿度の高い日本では、湿気は家の中を清潔に保つには大敵です。

 

また、カビやダニなど健康に悪影響を与える原因ともなりがち!

 

今回は家の中の環境、特にマンションでの湿気対策についてお話します。

またその上で、湿気対策に有効なリフォーム法を伝えます

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家の大敵!

マンションで湿気対策を始める前に知っておいていただきたいのは、

 

「マンションは一戸建て以上に湿気がたまりやすい」

ということです。

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マンションは戸建て住宅に比べ気密性が格段に高く、

そのため冬でも南側の太陽光のあたる部屋では暖房器具なしでうたた寝ができるほどです。

 

しかしその気密性ゆえに窓も少なく、空気の通り道がほとんどありません。

一度持ち込まれた湿気はなかなか外に出て行きません!

 

コンクリートは水分を放出している

 

昨今のマンションは鉄筋コンクリートが素材に使われていますが、

 

コンクリートは内包する水分を10年程度かけて

外に放出する性質があります。

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この場合、「外」というのはコンクリート内部から空気中へ、

ということですので、室内へも水分が空気中に放出されています!

 

マンションに住んでいて、

どうもカラッとしないのは、このような原因もあります!

 

また、昨今増えてきている

共稼ぎ世帯は、さらに深刻です。

 

日中、部屋に誰もいないため、

窓を開け閉めすることがなく、湿気がたまりやすい傾向にあります。

 

梅雨時など洗濯物を

(例え晴れていても、雨が降りそうなら部屋干ししている)と、

 

洗濯物から出る水蒸気も手伝い、

結露となって壁やサッシなどに付着します。

 

これもマンションで湿気がたまる原因の一つなのです!

 

湿気がたまるとどうなる?

この項では湿気のもたらす害について簡単にお話ししていきます。

 

湿気がたまる、言い換えるとジメジメすることでカビが生えてきます!

 

カビは太陽光の届かない、

湿度の高い場所を好むため主にお風呂場やトイレ、水周りなどに注意を払いがち。

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しかし、すでにお伝えした通りマンションはその性質上様々な場所に湿気がたまりやすく、

ほとんどすべての部屋でカビが発生する可能性があります。

 

マンションで湿気対策を行う上で、カビの発生は見過ごせないのです!

カビは温度が摂氏15°C以上、

湿度75%以上で豊富な栄養源のある場所に発生します。

 

家の中には石鹸カスや髪の毛など栄養分は十分にありますから、

湿度を高めてしまうことでカビの発生確率が格段に上昇します。

 

さらにカビは、

胞子から菌糸の状態を経てまた胞子として別な場所に発生するというサイクルを繰り返しながら繁殖していきます。

一般的にカビだと認識されるものは成長した菌糸に胞子がついたものです。

 

そして、その状態ではすでに胞子が室内にまき散らされているということ!

 

空気中に漂う胞子や菌糸を体内に吸い込んでしまうと、

抵抗力の弱い人は内臓真菌症にかかったり、アレルギーを引き起こしたりすることもあります。

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特に内臓真菌症は内臓にカビが発生するという恐ろしい病気です。

また、カビをそのまま放置しておくとすぐに増殖し悪臭の原因となったり、家を劣化させたりする原因にもなります。

カビとダニは大敵!

問題は、カビだけではありません!

マンションの湿気はダニの繁殖を手助けします。

 

摂氏20〜30°C、湿度60~80%というのが、ダニが好む生育環境です。

 

ダニの繁殖は早く、

1匹のメスが一生のうちに100個前後の卵を産むため、

はじめは数匹程度でも3カ月もすると数万匹にまで増えてしまうのです。

 

どうですか?

 

ダニのフンや死骸・脱皮殻なども、ぜんそく・アレルギーを引き起こす原因と言われています!

 

ダニの数が増えれば、

それらアレルゲンとも言えるものも同時に増えるわけですから、

健康状態に深刻な被害があります。

 

以上ほんの一部でしたが、

マンションにおける湿気がもたらす被害をご紹介しました。

 

この後は、湿気に強い!

マンションへのリノベーションの(リフォーム)方法をご紹介!

 

湿気に強い!マンションリノベーション(リフォーム)

 

冒頭お伝えした通り、戸建てよりも気密性が高いマンションは、

室内の気温を、一定に保ちやすい特長があります。

 

反面、外気温と室温差が大きくなることで、

結露が発生するなど湿気には悩まされがち。

 

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これは気密性が高いマンションだからこそ起きやすい現象です。

 

湿気を放置しておくと、カビやダニなどの原因ともなり、

健康にもよくないのは、先ほどお伝えした通りです。

 

既存のマンションをリノベーション(リフォーム)するとなると、

ついつい内装や使い勝手のことに頭がいっぱいになってしまいがちですが、

 

今回は湿気対策に有効な

リノベーション(リフォーム)についてお伝えします!

 

風通しに配慮した間取り・内装仕上材に変更する

 

気密性が高いマンションでは、

室内に湿気がたまりやすくまた結露なども発生してしまいます。

 

風通しが悪く空気が溜まりやすい

押入れやクローゼット、キッチンの隅なども湿気がたまりやすい場所と言えます。

 

こうした室内での湿気の滞留を防ぐためには、換気と風通しが重要!

 

換気しやすく風通しのよい家にするためには、

間取りや内装を考えるにあたって玄関から窓までの空気の流れ、

通り道をしっかり確保することが大切。

 

またマンションの北側には太陽光が届かず空気の流れが生まれにくいため、

北側の部屋には、クローゼットなど湿気がたまりがちな

収納スペースは作らないよな工夫が大事!

 

押入れやクローゼットなどは

内部に湿度を調整してくれる素材を利用することで、格段に湿気が減ります。

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ウォークインクローゼットは、

可能であればウォークスルークローゼットへの変更が望ましいとされています。

 

それが難しいようでしたら、せめてクローゼットの扉に通気口をつけましょう。

 

壁と窓の断熱性を高める

 

冬になると、マンションの窓の内側や壁に

びっしりと水滴がついていることがあります。

 

これは結露といってこれは、暖かい室内と、外との気温差が原因。

 

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冷たい外気によって冷えた窓や壁に室内の暖かい空気が触れると、

空気中の水蒸気が冷やされ、気体から液体になり、窓や壁に付着するのです。

 

また、結露は室内でも発生します!

 

とくに寒い季節、

リビングや寝室など暖房の効いた暖かい部屋と普段使っていないなど

寒いままの部屋の間に大きな気温差ができてしまいます。

 

このため冷えた部屋と部屋の間の壁に

結露が発生してしまうのです。

 

このような結露は放置すれば、それだけで湿度が上昇してしまうため、

湿気に強い家づくりのために、まずは結露の対策が有効です。

 

結露への有効な対策は窓ガラスや壁を冷やさなければよいので、

「断熱」という考え方が登場します。

 

これは壁や窓と室内の間に空気の隙間を作ることで、

外気温と室温の差を無くそうという考え方です。

 

マンションの窓と壁の断熱効果を高めるには、

次のような方法があります。

 

内窓・ペアガラス

 

既存の窓の内側にもう1つの窓を取り付ける方法があります。

 

このもう一つの窓を内窓といい、

元の窓と内窓の間にできた空気の層が断熱効果を発揮し、

結露を防ぎます。

 

「マンションの窓は共有部分にあたるのでは?」

とご心配の方も大丈夫。(共有部分は勝手に加工や変更できません)

 

内窓の取り付けは専有部分内なので個人での施工が可能です!

 

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ただし注意していただきたいのは、内窓をつけたため、

外部からの窓の見た目が変わる場合です。

 

この場合は設置前に必ず管理組合への確認を行ってください。

 

またこの他に、ガラス自体をペアガラスと呼ばれる特殊なガラスに変更する方法もあります。

 

ペアガラスは正式には複層ガラスと呼ばれています。

 

これは複数枚の板ガラスを重ね、

その間に乾燥した空気やアルゴンガス等が封入された(または真空状態にした)ガラスのことで、

断熱性に優れています。

 

ただしペアガラスに付け替える工事は、

施工可能かどうかは管理規約によるため確認が必要です。

 

壁に断熱材を加工

もう一つは壁に断熱効果を持たせることです。

 

手段としては壁に発砲ウレタンを吹き付けたり、

ボード状の断熱材を取り付けたりすることで、断熱効果を高めることができます。

 

デメリットとしては、その分だけ壁が厚くなるので、

室内の面積が若干せまくなりますし、圧迫感も増します。

 

場合によっては部屋の統一性が失われることもありますので、素材等は慎重に選びましょう。

 

なお、こうした断熱は防音性や冷暖房の効率も高めます。

 

とくに冷暖房効率の上昇は光熱費の節約にもつながりますので、一石二鳥です。

 

以上、湿気に強いマンションにするための

リノベーション(リフォーム)の基本となる考え方をお伝えいたしました。

 

下記にポイントをまとめてあります、

よろしかったらリノベーション(リフォーム)をお考えの場合は参考にしてくださいね。

 

• 窓と反対側の壁にもドアや窓などを設置し、家全体で空気の通り道を作る
• 部屋と部屋の間の壁に室内窓を設ける
• マンションの北側の壁には湿気がたまりがちなクローゼットなど収納スペースを作らない
• 押入れ、クローゼットの内部に調湿機能のある仕上げ材を利用する
• ウォークインクロゼットはできれば2方向に出入口があるウォークスルークロゼットに変更する
• 押入れ、クローゼットの扉に通気口を設置する

 

次からは今すぐできる湿気対策についてお話ししていきます。

 

今からできる!マンションの湿気対策!

ここまで湿気に強いマンションにするための

リノベーション(リフォーム)方法をご紹介してきました。

 

しかし、家の作りだけでは湿気対策には限界があります!

 

人間が生活する以上必ず湿気は持ち込まれ、少しずつしみ込んでいきます。

 

せっかく湿気に強い家にしたのだから、次は日々の行動でさらに湿気を追い払いましょう。

 

マンションでの湿気対策の基本は室内の換気と除湿です。

エアコンの除湿や除湿器などを活用して、室内の除湿をこまめに行ってください。

 

また、床暖房があるならば、床を温めて空気を乾燥させる方法もあります。

 

さらに、湿気対策で効果的と言えるのは室内の換気!

 

室内の空気に流れを作り、

効果的な換気を行うために換気扇は常に作動させておきましょう。

 

天気のいい日は、

窓やドアや押し入れのふすまなども開けて新鮮な空気を室内に循環させることも大事です。

 

細かく見ていきましょう。

 

水蒸気が発生するものは換気扇を併用する

お湯を沸かす、

鍋物をする、

洗濯物を干す等々、

水蒸気を発生させる原因はいろいろあります。

 

そんなときは必ず換気扇を併用しましょう。

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もちろん、窓を少し開け、吸気口を造っておくことは鉄則ですが、

それに加えて換気扇を使用することで効果的に除湿が可能です。

 

また、換気扇はその発生源の近くで回すよう心がけて下さい。

 

水蒸気の発生源と換気扇が遠くなればなるほど、

空気は換気扇にたどりつくまでにどこかで滞留してしまいます。

 

そして当然、水蒸気もそこに残ってしまい、

結果として結露などの原因となります。

 

換気の例を上げるのならば、

洗濯物などを干す場合は、ベストは浴室で浴室換気扇を回しながら干すことです。

 

多少でも日差しを浴びせたいと窓側のリビングで干すのであれば、

リビングの換気扇は必ず回しましょう。

 

押入れ・クローゼットはこまめに換気する

 

晴れている日には押入れやクローゼットの扉を開け、

空気の入れ替えを行いましょう。

 

梅雨など湿度の高い季節にそのままにしておくと、

水蒸気は逃げ場を失い、室温が低くなると結露となってしまいます。

 

しかし、締め切ったままだとそれさえも発見できない場合が多く、

湿っぽい、かび臭いというふうに思って初めて気づくという場合が多々あります。

 

そうなる前にこまめな空気の入れ替えが大事です。

換気扇は常時回しておく

何度もお伝えしている通り、マンションは、戸建てと比べて、

自然換気がしにくい造りになっています。

 

これを補うには換気扇を回すしか方法はありません!

 

就寝中以外は、浴室か台所の換気扇またはその両方を常に回しておくことが、

マンション内に湿気をためない方法の一つです。

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お湯を沸かす、煮炊きをする以外にも湿気を発生させるものはいろいろあります。

常に空気の流れを作り、入れ替えるよう心がけましょう。

 

換気扇の寿命も心配という方もいらっしゃるかもしれませんが、

 

換気扇は付けっぱなしでも10年は持ちます!

10年後に取り替えても費用は、3万円程度で済みます。

 

先ほど挙げたカビやダニの健康被害に悩まされながら、

ジメジメした不健康な部屋で生活を送ることに比べれば安い費用ではないでしょうか。

 

なお、現在では24時間換気は新築時に設けなければなりません。

 

しかしながら、

平成12年以前に完成した古いマンションでは

24時間換気が設けられていない場合がほとんどです。

 

ご自身で換気扇などを回す必要がありますので注意してください。

 

石油・ガスストーブは大敵

石油やガスストーブは、安価で、すぐ暖かくなる便利なものです。

冬場などは重宝されているご家庭も多いかと思います。

 

しかし、これら冬の味方が、使い方次第ではマンションの湿気を高める一因にもなってしまうのです。

これらのストーブはガスを燃焼させているときに大量の水蒸気を発生させています。

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また、ストーブで暖められた空気は、部屋の温度を上昇させ、

空気中に含くむことが出来る水分の量の多くなります。

 

そのため部屋の温度が高い間は、問題はあまりありません。

 

しかし、就寝時や外出時などいったんストーブを止めその部屋の温度が下がっていくと、

今まで温度が高かったから空気中に含まれていた水蒸気が温度の低下とともに含みきれなくなり、

水滴などの現象で表面化していきます。

 

寝ていたり、普段あまり使わない部屋だったりするとその発生も気づきません。

その繰り返しがカビの発生につながってしまいます。

 

これらは、ストーブを使っている最中や使い終わったあと、

しばらくの間、換気扇を回すことでかなり効果的に防ぐことが出来ます。

 

しかし北向きの部屋の場合、

ほとんどのマンションに換気扇はついていないことが多く、

電気ストーブや遠赤外線ヒーター、オイルヒーターなどを用いるのが効果的です!

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また、リビングなどで使用する場合も換気を常に行い、

ストーブを消してもしばらく換気をしておくことが重要です。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

 

マンションの湿気にまつわる問題と、その解決法や対策をお話ししてきました。

マンションは気密性が高い構造になっており、ただでさえ空気の通り道が作りにくいのが問題です。

 

材質的にも生活スタイルも、

湿気を溜め込みやすい条件が揃っており、

 

きちんと対策を行わなければカビやダニなど、

家のみならず住んでいる人にも深刻な健康被害を及ぼします!

 

換気扇を常に回したり、

クローゼットなどを定期的に開けて空気を入れ替えたりすることも大事ですが、

やはり一番効果的なのはリノベーション(リフォーム)でしょう。

 

少しでも空気の通り道を作る事で結露対策になります!

家の中に水蒸気を溜め込まないようにすることができ、非常に効果的です。

 

みなさんも一度、お住いの湿気対策見直してみてくださいね。

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